ゆったい彩ったい:これは桶などの中の水がチャプチャプする有様です。ここでは「ぶらぶら」がよい。
ちけーねーらに:「差支えはないか?」になるので、「ちゃーん無-びらに」=「大丈夫ですか?」がよい。
はねーち:賑わってになるのでおかしい。「話すん」の連用形「はなし」=「話し」がよい。
夕ん暮り廒:間違えです。正しくは「夕ゆっ惘廒」。
困まとーいびーん:動詞「くまいん」を「困る」とする用法もありますが、困っているのであれば、「す愈ーすん」で、「す愈―ちょーいびーん」。
んじゃさ:「んちゃ!」が普通です。
空:文語ならあってますが、口語なので「天(廒ん)」です。
だてーんぬ:大きく、大いに、うんと、の意ですから、たくさんの子に囲まれるのなら「うほーくぬっ子」が正しい。
沖縄語の朗読は上手ですが、子供相手には少々速く、難しいと思います。また、丁寧語、常態語の使い方の統一を心がけて欲しいものです。
※沖縄語教育研究所の國吉眞正さんに校閲していただきました。
昔、昔、沖縄ぬある所んかい、一人ぬ若者ぬ居たん。人里離りとーる此ぬ所ー、幾年んっ人ぬ面見ちゃる事ぬ無-らんあたいぬ、しからーさる所やたん。
若者 「望まんかい居てー、何時ま廙んしからーさる思ーっし、生ちちぇー居ららん。何処がな他ぬ所んかい移廒暮らち、じんぶん持ちぬ御年寄いんかい色々習りわるやる」
若者や、う懲ぬ食み物婢水持っち、がまくんかい巻ち、旅出じたん。
うりゆー嬨し、若者ぬ長さるひら歩ちょーたぐ婢、ひんすーすがいにぬ御年寄ぬ、ゆったい彩ったいくちさぎさ歩ち。
若者 「うすめーよー、ちけーねーらに。僅かるやしが、水婢食み物ぬあいびーぐ婢、うさがみそーれー」
年寄り 「あらん、あらん。うんじゅん急じぬ用事。我ん事ーかむらん廒ん宜さいびーん」
若者 「あいびらん。知らんふーなーや成いびらん。うすめーぬ行ちゅる所ま廙、我ーが添廒行ちゃびーさ」
若者や、うすめーう慠し色んな物語はねーち、確かな嬨ーぬ望み持ちゅる事ん成いびたん。あんし、山ぬ上辺んかい、三ちぬ御嶽。
年寄り 「あー、うりかー歹廒、我んねー、降りーさ。揄ーや、誠心出来とーる若者やん。礼儀にくぬ三ちぬ玉呉ゆん。くぬ玉ー、水ぬ玉、森ぬ玉、火ぬ玉やん。此りからぬ旅、くぬ三ちぬ玉ぬ、揄ー助き廒呉ーるはじ。や廒、揄ーが、望どーたる物ぬ手ぬ内んかい入-る事ん成いるはじ」
あん言やーに、うすめーや、よーんなー、うぬ御嶽ぬ中んかい消ーり廒行ちゃびたん。若者ぬ、また旅続きとーたぐ婢、っ人ぬ居らん荒りとーる所歹廒、夕ぬ暮り廒来ゃーびたん。
若者 「なー。夕ん暮り廒、困まとーいびーん。一夜ぬ宿借らち取らさんがやー」
はーめー 「宜さいびーん。とーたい。内んかい」
宿婢めー廒、ゆるっ婢成廒、はーめーぬ言る通い、家ぬ中んかい入っちゃん。
若者 「はー!、空頭!」
はーめー「揄ーん喰廒取らすん!逃すみ!」
若者 「んじゃさ。あぬうすめーから杖ーたる玉。うすめーや、此ぬ事言ちょーてーさ。とー、あね!」
はーめー 「此ぬあたいぬ事何んあらん」
若者 「あー、助き廒呉り!やさ、なー一ちぬ玉。えい!」
はーめー 「くん如ーる森ぬあたい何んあらん」
若者 「望ー、なー一ちぬ玉。此りが最後。うかみがなしー御神加那志、助き廒呉みそーり。とーひゃー!」
はーめー 「ぎゃー!」
っ人喰いるはーめーや、燃ーとーる火ーぬ玉ぬ中んかい消ーり廒行ちゃびたん。
若者 「た、助かたん。御神加那志う、に戴ーでーびる」
東ぬ空ぬ明かが廒、廒ーだ加那志ぬ昇廒来ゃーびたん。若者ぬ逃ぎ廒来ゃる道ねー、水ぬ満っちょーる川原ぬ流り廒、緑豊かな森ぬあ廒、火ぬ玉分きたる所ー、地ぬ開きとーいびーん。
若者 「くれー、見事。くま歹廒、暮らする事んかいさな」
若者ぬ此ぬ所歹廒、嫁婢めー廒、だてーんぬっ子ぬ達んかい囲まーっ廒、幸しに暮らちゃん廙言さ。
終わい