※沖縄語教育研究所の國吉眞正さんに校閲していただきました。
昔、昔、糸満んかい、いっぺー仲ぬ宜たさる夫婦ぬ居―びーたん。
【男】 うねー。ちじゅやーやさ。網んかいかかとーてやさや。慌廒てーやさや。とーとー、助きて婢らっさ。ん。
【その妻】 あいえー、がたがたーそーさ。懐んかい入って、温たみらやー。
夫婦んだー、網んかいかかたるちじゅやー助き廒逃がする、うんな情ある人柄やいびーたん。
【その妻】 うね。手さーじやさ。女ぬ作たる手拭さーじぇー海ぬ男守いん廙。我ん婢似ちょーる作たんどー。
風吹ちぬ近じちゃるある日ぬく婢、妻ぬ浜んかい海ぬ様子見じーが行じゃん。
【男】 何処んかい行じゃがやー。くんぐとーる風ぬ強さる日に。
【その妻】 あーっ、わーあああ!
【男】 えー、何処んかい居が?うん、あぬ手―さーじや!おー、おー、うゎーん。
【男】 うねー?まさか!えー!えー!誰やがやー?
なーちゃから、洗濯物ぬ干さっ廒、家ぬ中ん片じち、御釜ねー、夕飯んしこーらっとーる日ぬ続ちゃん。
【男】 今日ん洗濯物ぬ干さっ廒、箒かちん、夕飯ぬしこーいん。妻や居らんはじやしが。何処ぬ誰やがやー?
【男】 とー。今日やくまから見ちょーかわるやる。うね?ちじゅやー!あーはー。!あぬ時ぬちゅじゅやー嬨やる杖。
【男】 望ー、おー!揄―やあぬ時助きたるちじゅやー嬨やる杖!
【千鳥】 うー。あんやいびーん。やいびーしが、かんしっ人ぬ姿んかいないるく婢、あてーないびらんしが、ちゃーしんあぬ時ぬ御恩返さんとーないびらん。どー廙ん、我ーがちじゅやーん廙言しぇー誰にん言わん廙呉みそーり。
【男】 望ー、分たん。揄―心ー有難ー事。今からくまんかい居とーけー。
かんし、ちじゅやー婢ぬ暮らしぬ始まいびたん。男ぬ顔にん笑いぬ戻廒。うんな男ぬ暮し、けー隣ぬっ人ー見ちょーいびーたん。
ある夜、家歹廒、けー隣ぬ嬨しぬ達ー婢、酒飲み交わするうち、男ー杖―按配な廒ねーらん。
【友人】 えー、前から問いぶさたしが、えー、あぬ女ー何処ぬ誰やが?
【男】 あー、うれー言ーらん。
【友人】 うね。なー懲ん酒飲み。あぬ女ー新さる妻嬨やる杖。
【男】 んー、あらん。昔妻婢糸満ぬ浜歹廒助きたるちじゅやー嬨やる杖。
【友人】 何やん!
【男】 うね!じゃー戴―なたん!
うね、ん廙ん言ち、見ちゃぐ婢、女ぬ胴ぬ半分ーちじゅやーんかい変わとーたん。
【千鳥】 約束やいびーぐ婢、なー此り歹廒くまんかい居る事-ないびらん。御無礼さびら。
嘆かさる鳴ち声残くち、ちじゅやーや空高く飛び立っち、やが廒見ーらんないびたん。
【男】 果報しどー。供に嘆かさ考-廒取らち、果報し。
終わい