「島唄」の「ウージ」ってなに?

太平洋戦争末期の沖縄戦の悲劇を歌ったTHE BOOMの「島唄」は色々な歌手がカバーしていますが、ほとんどの歌手が歌詞にある「ウージ」を、文字通り「うーじ」と「う」が破裂して発音しています。正しい沖縄語では、「サトウキビ」は「うぅーじ」で、「ウ」の不破裂音(沖縄文字なら「歹」)です。語頭に「うぅーじ」が来ると、沖縄語を知らない歌手は「うーじ」と破裂音になります。一方、共通語の歌詞を沖縄語に直して歌っているのをよく聞きますが、逐語訳や誤訳(?)だらけで、曲想を正しい沖縄語に直したものは少ないですね。例えば夏川りみの「なだそうそう」にしても、出だしの「なちかしアルバムみくてぃ」の「なちかし」って何でしょうか?元歌は「古いアルバムめくり」なので、おそらく「古い」を「懐かしい」にしたかったのでしょう。ところが、沖縄語で「なちかさん」は「嘆かわしい」という意味で、そのままでは「嘆かわしいアルバム」になります。正しくは、「懐かしい」は「あながちさん」です。うちなーぐちバージョンと称するカラオケやYoutubeの字幕を見ると、出鱈目な沖縄語満載で、沖縄語の保存・継承など夢のまた夢で、暗澹たる気分になってきます。こうして共通語と沖縄語が混ざり、ウチナーヤマトグチと呼ばれる言葉が後世に残って行くのでしょうか。