二童敵討
執心鐘入
銘苅子
孝行ぬ巻
女物狂
については、沖縄言語教育研究所の國吉眞正さんが解説を含め沖縄文字で分かりやすい資料を作成し、順次発表されているので、いずれまとまって発表されることと思います。
さて、この本の中の眞境名安興(執筆当時沖縄県立図書館長)の「組踊と能楽との考察」は一読の価値があります(眞境名安興についてはウィキペディアを参照してください)。朝薫の組踊は能楽に着想を得たものが多くありますが、能楽が仏教的無常観で救いのない悲劇を描いているのに対し、朝薫の組踊は明るい未来へに向かうストーリーになっている点を、眞境名が詳しく解説しています。強いて言えば、能楽をさらに進めた新しい舞台芸術への試みと捉えている点が興味深かったです。なお、文章は旧漢字と旧仮名遣い、さらに語彙も現在とは異なるものが多いので読むのに苦労するかも知れませんが、組踊の芸術性を理解する上で大いに役に立つことでしょう。