沖縄料理も絶滅危惧?

友人に「おいしい沖縄料理を食べさせるところ知らないか?」とよく尋ねられるのですが、答えに困ります。そもそも、沖縄料理って、何でしょうか。すぐに思いつくのは、ソーキそばをはじめ、ちゃんぷるー、いりちー、望ぶしー、たしやーなどありますが、どれも家庭料理と言ったところでしょう。琉球王朝は明、清をお手本にしていたので、宮廷料理は、おそらく中国料理に近いものだったはずです。代表的料理の豚を材料にした中身汁やあし廒びちにしても、極めて庶民的であまり洗練されていません。沖縄料理の基本は昆布と鰹節でしっかり出汁を取ることですが、これは17世紀初頭の薩摩藩による琉球侵攻と支配の影響でしょう。それ以前から続く伝統的な沖縄料理は見たことがありません。

ところで、沖縄県のレストランで驚くのは、一人前の分量です。揚げ物やタコライスのかなりの量を年配のひとでも残さず食べています。それもさることながら、一般家庭で消費されるランチョンミートとマーガリンの膨大な量です。前者はチューリップ、後者はホリデーとブランド名で呼ばれることが多いです。これを大量に入れたレシピのものを食べていたら、沖縄のタンメー(ウチナーグチでおじいさん)は短命になりますよね。都道府県の肥満率で沖縄県は男女とも1位です。沖縄県で提供される料理は手間暇かかる出汁作りを省略して、人工調味料を多用してコストと時間を節約したものがほとんどです。

東京の沖縄料理店でよくあるパターンは、店主が三線の先生で、練習後、店で飲食させるビジネスモデルです。こういう店の料理は良くないところが多いです。時短、低価格にするため人工調味料を多用しているので、お勧めできません。チェーン店も手間のかかる出汁取りなど、望むべくもありません。東京に長く住んでいる年配の沖縄県人に「東京でまともな沖縄料理店はありますか?」と聞いてみたら、即座に「ない!」と言われてしまいました。どうしても東京でまともな沖縄料理が食べたければ、自分で作るしかないようです。