浜千鳥(チジュヤー)

「浜千鳥(チジュヤー)」です。人に助けられた鳥が恩返しをする話としては、「鶴の恩返し」(夕鶴)が有名です。こちらは浜千鳥ですが、人間と約束をして、その約束を破ると元の鳥に戻るという筋書きも同じですね。漢字と仮名の対応に注意しましょう。当て字はできるだけ避け、語源的に明示できるものだけ漢字にしますが、瀞きが婢じのような慣用句は漢字にします。
※沖縄語教育研究所の國吉眞正さんに校閲していただきました。
=浜千鳥=
んかしんかし糸満いちまぬんかい、いっぺーなかゆたたさる夫婦みー婢歹い―びーたん。
【男】 うねー。ちじゅやーやさ。あみんかいかかとーてやさや。あわ廒てーやさや。とーとー、たしきて婢らっさ。ん。
【その妻】 あいえー、がたがたーそーさ。ふちゅくるんかいって、ぬくたみらやー。

夫婦みー婢んだー、あみんかいかかたるちじゅやーたしき廒がする、うんななさきある人柄ひ婢がらやいびーたん。

【その妻】 うね。廒―さーじやさ。杖なぐちゅくたる手拭廒―さーじぇーうみ杖きがまむいん廙。ん婢ちょーるちゅくたんどー。

かじちぬちかじちゃるあるぬく婢、婢じはーまんかいうみ様子よーしじーがじゃん。

【男】 何処まーんかいじゃがやー。くんぐとーるかじちゅーさる懲―に。
【その妻】 あーっ、わーあああ!
【男】 えー、何処まーんかいが?うん、あぬ―さーじや!おー、おー、うゎーん。

【男】 うねー?まさか!えー!えー!たーやがやー?

なーちゃから、洗濯しんたくむんさっ廒、やーなーかかたじち、かまねー、ゆーばぬんしこーらっとーる懲―ちぢちゃん。

【男】 今日ちゅーしんたくむんさっ廒、ほーちかちん、ゆーばんぬしこーいん。婢じらんはじやしが。何処まーたーやがやー?
【男】 とー。今日ちゅうやくまからちょーかわるやる。うね?ちじゅやー!あーはー。!あぬとちぬちゅじゅやー嬨やる杖。
【男】 望ー、おー!揄―やあぬとちたしきたるちじゅやー嬨やる杖!
【千鳥】 うー。あんやいびーん。やいびーしが、かんしっちゅ姿しがたんかいないるく婢、あてーないびらんしが、ちゃーしんあぬ婢ち歹んけーさんとーないびらん。どー廙ん、ーがちじゅやーん廙しぇーたーにんわん廙みそーり。
【男】 望ー、わかたん。揄―くくろありがてく婢なまからくまんかいとーけー。

かんし、ちじゅやー婢ぬらしぬはじまいびたん。杖きがか歹にんわらいぬむ嬨廒。うんな杖きがくらし、けー婢ないぬっちょんーちょーいびーたん。
あるゆるやー歹廒、けー婢ないぬ嬨しぬちゃー婢、さきわするうち、杖きがー杖―あんべーな廒ねーらん。

【友人】 えー、めーから婢―いぶさたしが、えー、あぬ杖なご何処まーたーやが?
【男】 あー、うれーーらん。
【友人】 うね。なー懲んさけみ。あぬ杖なごみいーさる婢じ嬨やる杖。
【男】 んー、あらん。んかし婢じ糸満いちまんはーま歹廒たしきたるちじゅやー嬨やる杖。
【友人】 ぬーやん!
【男】 うね!じゃー戴―なたん!

うね、ん廙んち、んーちゃぐ婢、杖なぐ嬨―半分はんぶのーちじゅやーんかいわとーたん。

【千鳥】 約束やくすくやいびーぐ婢、なーり歹廒くまんかいく婢-ないびらん。りーさびら。
なちかさるくち、ちじゅやーやすらたかっち、やが廒ーらんないびたん。
【男】 果報かふーしどー。婢むなちかさかんげ-廒らち、果報かふーし。

わい

グロッタル音

うちなーぐち特有の発音にグロッタル音、声門閉鎖音、あるいは声門破裂音があります。 正式には[ʔ]で表しますが、便宜的に[?]でも表すことがあります。閉鎖したり、破裂したりで、どう発音すればよいのか初心者には謎です。ウィキペディアの声門破裂音を見ても、どう発音すればよいのかは分かりません。「沖縄語の入門」(西岡 敏、仲原 穣)によれば、

一瞬、喉がきゅっと締まり、そのあと音がひゅっと飛び出てくるような音です。(48ページ)

と書いてあります。これを読んだ人は、どうすればいいかまったく分からないばかりでなく、この説明ははっきり言って、間違っています。それより「Okinawan-English Wordbook」(Misugugu Sakihara)(下記の例も同書による)にあるように、

the sound used in English in the informal words uh-huh ‘yes’ and uh-uh ‘no’.(xページ)

つまり、よく英会話中に聞く、「アッハ」(そうだ)、「アッアッー」(ちがう)のuhの音と言った方が分かりやすいと思います。

紙の上であーだ、こーだ言っているより、ちゃんとした(まともな)うちなーぐちができるひとに教えてもらえば簡単です。一度でも「うちなーぐち神奈川」の教室に見学参加してみれば、すぐできるようになります。

うちなーぐちができると自称するひとでも、特に若い世代はグロッタル音に無頓着です。グロッタル音の有無で、言葉の意味が違いますが、同じように発音する沖縄県人が多くなりました。

<例>
いん(犬) 杖ん(縁)
えーま(間) 殺ーま(八重山)
おーじ(扇) をーじ(王子)
揄ー(君、おまえ) やー(家)
敖ー(豚) わー(輪)
望に(稲) んに(胸)
望じゃなー(どもり) んじゃなー(苦菜)

百合若武士

NHK沖縄放送局の子供向けアニメ、「うちなーであそぼ」の「百合若武士(ユリワカデーズ)」です。数か所誤りや不明なところがあり赤字にしました。
たくらむん、たくちゃん 共通語としては分かりますが、沖縄語ではありません。悪事を企むのは「たくむん」ですから、「たくどーいびーん」とすべきでしょう。たくちゃんは、どう直せばいいのか分かりませんでした。
しちだん 「沈んだ」のですから、動詞「沈む」=「しじむん」の過去形、「しじだん」が正しい。「ち」と「じ」の言い間違えでしょう。
なちかさん 「懐かしい」の意味でしょうが、沖縄語では「嘆かわしい」意味になります。正しくは「あながちさん」です。これはよくある間違いなので、気を付けたいです。

共通語を沖縄語に逐語訳したようです。話が飛躍しており、言葉も不自然です。これを子供にどう指導すればよいのか、考えさせられました。
※沖縄語教育研究所の國吉眞正さんに校閲していただきました。

んかし沖縄うちなーのあるまちんかい、ユリワカデーズん廙言瀞きがたん。頑丈がんじゅーさるからだすぐりとーるじんぶん、文武ぶんぶすぐりとーるちゅーさる瀞きがやたん。ちゅらさる婢じみぐまっ廒、たーがん、うぬ瀞きがく婢み婢みとーたん。やしが、廒ーちまぎさる不足ふすくぬあたん。一度ちゅけーんんじーね、三日みっかー、きてくーん廙ゆるにーぶやーやたん。
ある婢しはる、ユリワカデーズぬ、をーさま使ちけーっし、水納島みんなじまんかいちゅるく婢んかいなたん。しんぬウスわかそー廒ぬちやたん。やしが、ウスわかや、ユリワカデーズぬちゅらさる婢じうむ廒、何時いちかー、嬨ーぬ婢じんかいさ、ん廙言ち、たくらどーいびーん。

「いちかー、婢じにすん」

はるー敖ーちちんかいさすらっ廒、にーぶいはじみたん。

「とー、ひゃー。んたんどー」

ふにはーまんかい、ウスわかや、ユリワカデーズきーぬかたかんかい、すびち望じ、水納島みんなじまんかい、うのままち、けーちねーらん。

わか按司あじめー、くりし最後さいぐやいびーさ。あぬ屋敷やしち婢御内儀ねーじぇーーがいただちゃびら。あんしぇー、よーんなんじみそーり。は、は、は、は」

屋敷やしちんかいちゃるウスわかや、ユリワカデーズぬ婢じんかい、ふにしちだん廙言ち、ゆくしちゃん。

「はっ、なー、くぬ屋敷やしちん、揄ーんむんやさ」

水納島みんなじまぬユリワカデーズや、やっ婢起き廒、嬨ーぬ、水納島みんなじまんかいかったん廙いちわかやびたん。

「えー、ウスわか何処まーんかいが?たーらん嬨ある杖ー?」

ユリワカデーズや、ながさる太刀たちっし、いゆ廒捌さばち、きーちっちまかいちゅく廒、みじ廙、ながらえていびーん。

ある懲ーく婢すらからなちかさるたかぬさびーん。

「ピー!」
「おー、おー、揄ーや!あー、ゆー此処くまわかてーさ!やさ、婢じんかいかきちきとどき廒婢らし」

ユリワカデーズや、太刀たちっしいーびきじき廒、ちーっしくわず望む慠ーんかいむゆる婢じんかい廒廒、手紙廒がみち、たかぬ懲さんかい。

婢じや、ちちょーるく婢わか廒、ふ廙しじりたかぬ懲さんかいくんち、にげーたくちゃん。
うりからたかや、ちからち、じねーらん。

うぬあ婢水納島みんなじますばとーたるをーさまふにんかいたしきらったしが、ユリワカデーズん廙言し、わかてーとらさん。

やしが、ふ廙婢硯しじりかじうたかち、まく婢ユリワカデーズん廙言ることしやびたん。
かんし、ユリワカデーズや、なちかさる嬨ーぬやーんかいむ嬨廒来ゃん。

ユリワカデーズや、屋敷やしちんかいぬぶ廒、ウスわかめーんかいっちゃん。

「ウスわか!揄ーや、惘ーわし廒るしー!」
わか按司あじめーわか按司あじめーやいびーさや!」
「望、望、望、あー!」

うりからあ婢、ウスわかや、ばち婢っし、水納島みんなじまんかいうくらったん廙ぬく婢

わい

神様の3つの玉

NHK沖縄放送局の子供向けアニメ、「うちなーであそぼ」の「神様の3つの玉」です。とてもよくできていますが、数か所、軽い誤りがありましたので、赤字にしました。
ゆったい彩ったい:これは桶などの中の水がチャプチャプする有様です。ここでは「ぶらぶら」がよい。
ちけーねーらに:「差支えはないか?」になるので、「ちゃーん-びらに」=「大丈夫ですか?」がよい。
はねーち:賑わってになるのでおかしい。「話すん」の連用形「はなし」=「話し」がよい。
ゆーり廒:間違えです。正しくは「ゆーゆっ惘廒」。
まとーいびーん:動詞「くまいん」を「困る」とする用法もありますが、困っているのであれば、「す愈ーすん」で、「す愈―ちょーいびーん」。
んじゃさ:「んちゃ!」が普通です。
すら:文語ならあってますが、口語なので「天(廒ん)」です。
だてーんぬ:大きく、大いに、うんと、の意ですから、たくさんの子に囲まれるのなら「うほーくぬっ」が正しい。

沖縄語の朗読は上手ですが、子供相手には少々速く、難しいと思います。また、丁寧語、常態語の使い方の統一を心がけて欲しいものです。
※沖縄語教育研究所の國吉眞正さんに校閲していただきました。

んかしんかしうちなーぬある婢くるんかい、一人ちゅいわかむんたん。ひ婢ざ婢はなりとーる婢くろー、いくにぬんっちゅちらんーちゃるく婢-らんあたいぬ、しからーさる婢くるやたん。

若者 「望まんかいてー、何時いちま廙んしからーさるうみーっし、ちちぇーららん。何処まーがなふか婢くるんかいうちらち、じんぶんちぬいんかいいるならりわるやる」

わかむんや、う懲ぬむんみじっち、がまくんかいち、たびじたん。
うりゆー嬨し、わかむんながさるひらあっちょーたぐ婢、ひんすーすがいにぬぬ、ゆったい彩ったいくちさぎさあっち。

若者 「うすめーよー、ちけーねーらにわじかるやしが、みじむんぬあいびーぐ婢、うさがみそーれー」
年寄り 「あらん、あらん。うんじゅんいすじぬゆーじゅくとーかむらん廒んゆたさいびーん」
若者 「あいびらん。らんふーなーやいびらん。うすめーぬちゅる婢くるま廙、ーがそーちゃびーさ」

わかむんや、うすめーう慠しいるんなむぬがたいはねーちたしかな嬨ーぬぬずちゅるく婢いびたん。あんし、やま敖ーんかい、みーちぬたき
年寄り 「あー、うりかー歹廒、んねー、りーさ。揄ーや、まく婢くくるとーるわかむんやん。りーにくぬみーちぬたまゆん。くぬたまー、みじたまむいたまひーたまやん。りからぬたび、くぬみーちぬたまぬ、揄ーたしき廒ーるはじ。や廒、揄ーが、ぬずどーたるむんうちんかい-るく婢いるはじ」

あんやーに、うすめーや、よーんなー、うぬたきなーかんかいちゃーり廒ちゃびたん。わかむんぬ、またたびちぢきとーたぐ婢、っちゅらんりとーる婢くる歹廒、ゆーり廒ゃーびたん。

若者 「なー。ゆーり廒まとーいびーんいち宿や嬨らちらさんがやー」
はーめー 「ゆたさいびーん。とーたい。うちんかい」

宿や嬨婢めー廒、ゆるっ婢廒、はーめーぬ婢ーい、やーなーかんかいっちゃん。

若者 「はー!、からちぶる!」
はーめー「揄ーんらすん!ぬがすみ!」
若者 「んじゃさ。あぬうすめーから杖ーたるたま。うすめーや、く婢ちょーてーさ。とー、あね!」
はーめー 「ぬあたいぬく婢ぬーんあらん」
若者 「あー、たしき廒り!やさ、なー廒ーちぬたま。えい!」
はーめー 「くんぐとーるむいぬあたいぬーんあらん」
若者 「望ー、なー廒ーちぬたまりがさい。うかみがなしーかみしーたしき廒みそーり。とーひゃー!」
はーめー 「ぎゃー!」
ちゅいるはーめーや、ーとーるーぬたまなーかんかいちゃーり廒ちゃびたん。
若者 「た、たしかたん。かみしーう、に戴ーでーびる」

あがりすらかが廒、廒ーだしーぬぶゃーびたん。わかむんぎ廒ゃるみちねー、みじっちょーるかーながり廒、み嬨りゆたかなむいぬあ廒、ひーたまきたる婢くろー、ぢーひらきとーいびーん。

若者 「くれー、ぐ婢。くま歹廒、らするく婢んかいさな」

わかむん婢くる歹廒、ゆみ婢めー廒、だてーんぬちゃーんかいかくまーっ廒、しあわしにらちゃん廙さ。

わい

MacのSafariで表示不可

このサイトはWordPressに子テーマを設定し、スタイルシートで沖縄文字フォントをブラウザに読み込ませるようにしています。こうすることにより、ブラウザ側に沖縄文字フォントをインストールしてなくても表示が可能になるのですが、手持ちのMacはMacOS High Sierraでに付属しているSafariでは表示できません。Chromeではちゃんと表示されます。沖縄文字フォントを予めインストールしておけばSafariでも表示できます。どうやらSafariの設定をどうにかしなければならないようです。どうすればよいのか色々やってみていますので、それまでMacユーザはChromeで閲覧してください。

困った師匠に困る弟子


やなじみどぅり はなくれな瀞
ふぃとぅなさき うんみにをぅ瀞
勝連繁雄「改訂歌三線の世界ー古典の魂ー」

やなじどぅ はなくれな瀞
ふぃとぅただただなさき うむみにをぅ瀞
勝連繁雄「琉球舞踏の世界ー私の鑑賞法ー」

上は同じ著者による「柳節」ですが、「梅」の読み仮名が「うんみ」と「うむみ」と違っています。唄三線の師匠Aは弟子に「うんみ」、師匠Bは「うむみ」と、それぞれ書いてある通り歌いなさいと指導しています。師匠が違うと発音が違い、弟子は「Aのときは『うんみ』、Bのときは『うむみ』」と、使い分けされられています。本当の発音は「望み」(?Nmi)で、おそらく著者は仮名で発音を表すのに苦労したのでしょう。うちなーぐちがちゃんとできない師匠は、文字通りに発音するしか知識がないようです。そんな師匠では弟子が気の毒です。

うたさんしんしょーぬ望じとー廒、沖縄うちなーぐちからん―杖。
(唄三線の先生なのに、沖縄語も分からないのか。)

こんな師匠に付くのはやめましょう。
(参考:國吉眞正さんによる琉球新報論壇2012年9月22日を参考にしました)

島言葉ってどこの言葉?

沖縄語をしまく婢と呼びますが、実は島はアイランドの島だけではなく、村のことも言います。この島言葉は実に数百種類もあり、島々で異なるだけでなく、隣村でも会話が通じないほどの違いがあります。

沖縄県では沖縄語の保存・継承のため、9月18日を「しまくとぅばの日」として、沖縄語の奨励をしていますが、それではこの「しまくとぅば」はどの地方の言葉なのでしょうか。どこと定めてしまうと、そこから外れた地方から不満が出ます。そこで、どこの言葉とは明示していません。ただ、県庁から発行された「しまくとぅば読本」では中南部(那覇)、北部(久志)、宮古(平良)、八重山(四箇)、与那国(祖納)を紹介しています。なぜこれらの地方が選ばれたのかの記述はありません。要するに地元のしまく婢を保存・継承しましょうと言うことなのでしょう。

本サイトでは首里言葉を主とします。首里言葉は琉球王朝時代の士族を中心に使われたことばで、一種の共通語としてだけでなく、組踊のような伝統古典芸能で使われています。将来残すべき言葉として最も価値が高いからです。