与那の高ひらや

沖縄語辞典(研究社)の巻末付録にある琉歌792(トーバル)です。

与那の高ひらや汗はてと登る無蔵と二人(たい)なれば車とう原

が新宿教室で話題になりました。伊波普猷全集からの引用のようですが、この表記通りに共通語(いわゆる標準語)の話者が歌うのは大間違いです。ウチナーグチの音を表す文字がなかったため、便宜的に仮名漢字交じり文で表記したものです。正しい発音は沖縄文字を使ってルビ付きで表記すると、

与那ゆなたか懲らやあしは廒嬨ぬぶ二人たいなりばくるまとーばる

となります。ウチナーグチの話者、歌い手は上の仮名漢字交じり文の表記から、下のように発音するのです。つまり、ウチナーグチができないと、琉歌は歌えないのですね。

かなり高名な唄三線の先生でも、まともなウチナーグチ、特に首里言葉に堪能でないと正しい発音で歌えていません。師匠の免状を持っているひとでも、平気で(?)間違った発音で歌っているので、唖然とします。そればかりでなく、間違ったものを弟子たちに平然と伝えている例が多いのです。また、地方の民謡となると、その地方のウチナーグチで歌わなければなりません。音声が録音として残っていればよいのですが、そうでなければ絶滅状態の言葉を文字を頼りに歌う、でたらめなものが後世に伝わるのでしょう。

子供時代から首里言葉に慣れ親しんだ師匠は希少かつ、高齢になっています。若手の師匠の中には「うちなーぐち神奈川」の教室に通い、熱心にウチナーグチを勉強されているひとがいるのが救いでしょうか。。

まじないナーマーヤドゥー

「まじないナーマーヤドゥー」です。(※配信終了してます)
後世に伝え残してゆくべき「うちなーぐち」は何なのか、考えさせられました。言葉は「これが絶対正しい」と言い切れない、難しい問題があります。まして、豊かな方言の沖縄語ではいつもこれが問題になります。私は首里言葉です。
三回みけーんナーマーヤードゥん廙ち、なーちきみそーり。
正しい発音は「みそーり」です。
・臼 「うーす」ではなく、「うーし」が正しい。
・?マークはよく聞き取れないところです。
※沖縄語教育研究所の國吉眞正さんに校閲していただきました。

んかしんかし八重山殺ーまあらぐしくじまんかいんナーマーヤーん廙うみんちゅどーいびーたん。ゆるうみいゆらり、ナーマーヤーやゆるいゆいしじょーやいびーたん。さく婢、ぬーがなみーきたるふーにやいびーん。
[息子] すー、たーがながふにぎとーんど。
[父親] んー?はぁー、なー。ふにあちけーらん。あー、手伝廒がねすび。
うふやっさるナーマーヤーうやふにはーまんかいぎーる?????。ふにはーまんかいぎたる???よーんなすが廒が廒ぬあかが廒、ふになーかじーね、ちなぬながやーひがやーなとーいびーん。
[父親] ぬーがくれー!うみんちゅちなてーしちにさんだれー、ぐ婢ならんしが。だー、のーち婢らさ。
[息子] くぬふねー、すー、ぬ、ぬ、ぬーがな歹かさんどー!
[親子] うわぁ!えっ!
[病神A] なー、ふにま廙げ廒婢らち、殺ー、なーやーらんかんし丁寧ていねいちなま廙のーち婢らち、に戴ーどー。
[親子] あわわ....。
[病神B] あーえん、かおずる廒しみそーんな。
[病神A] ったーやんめーかみ、ヨーラサーやいびーん。くぬしまんかいやんめーちゅるたみにゃーびたん。くぬちなやんめーらするちなやいびーん。
[病神B] ったーりらんふにあちけーんかいあわりそーいびーたん。くぬおんじぇやんめーかみや廒ん?????
[病神A] ったーかりーね、うーすたたちが廒、けーんナーマーヤードゥん廙ち、なーみそーり。御所うんじゅなーだけやんめーからがちうさぎやびーん。
[病神] クェー、クェー、クェー・・・・
あんまじむんっちゃーやく廒、ちゃーり廒ちゃびたん。
翌日なーちゃゆる
クェー、クェー、クェー・・・・
[息子] すー!
[父親] やっさ、あぬまじないやさ。
ナーマーヤーやあわ廒廒き廒、うーすたたちゃびたん。
[父親] ナーマーヤードゥ、ナーマーヤードゥ、ナーマーヤードゥ、ナーマーヤードゥ、ナーマーヤードゥ!
さく婢、ま廒、しじかにないびたん。。
翌日なーちゃからむらんかいでーやんめーやびたん。やしが、ナーマーヤーぬやーにんっちゅだけやんめーんかいかからんぐ婢むたるむらっちゅうほーくなーナーマーヤーぬやーたじね廒ゃーびたん。
[父親] ゆる、クェー、クェー廒かりーね、ナーマーヤードゥ、ナーマーヤードゥん廒いが廒、けーんうーすたたちゅん。くりしやんめーからがれーるく婢ぬないん。殺ー、んなっちゅ、くぬまじない懲るめ廒か!
うりからやんめーんかいかかいるむらっちゅぬいきらくな廒、むらすくらったん廙く婢八重山殺ーまあらぐしくじまはなしやいびーたん。
わい)