後世に伝え残してゆくべき「うちなーぐち」は何なのか、考えさせられました。言葉は「これが絶対正しい」と言い切れない、難しい問題があります。まして、豊かな方言の沖縄語ではいつもこれが問題になります。私は首里言葉です。
・三回ナーマーヤードゥん廙言ち、名言ちきみそーり。
正しい発音は「呉みそーり」です。
・臼 「うーす」ではなく、「うーし」が正しい。
・?マークはよく聞き取れないところです。
※沖縄語教育研究所の國吉眞正さんに校閲していただきました。
昔、昔、八重山ぬ新城島んかいんナーマーヤーん廙言る海人ぬ住どーいびーたん。夜ぬ海や魚釣らり、ナーマーヤーや夜魚取いし上手やいびーたん。さく婢、子ぬ何がな見付きたる風儀にやいびーん。
[息子] すー、誰がなが船上ぎとーんど。
[父親] んー?はぁー、なー。船ぬ扱ん知らん。あー、手伝すび。
うふやっさるナーマーヤー親子や船浜んかい上ぎーる?????。船ぬ浜んかい上ぎたる???よーんなすが廒が廒ぬ明が廒、船ぬ中見じーね、綱ぬながやーひがやーなとーいびーん。
[父親] 何がくれー!海人や綱大切にさんだれー、仕事ならんしが。だー、直ち婢らさ。
[息子] くぬ船ー、すー、ぬ、ぬ、何がな歹かさんどー!
[親子] うわぁ!えっ!
[病神A] なー、船ま廙上げ廒婢らち、殺ー、なーやーらんかんし丁寧に綱ま廙直ち婢らち、に戴ーどー。
[親子] あわわ....。
[病神B] あーえん、かおずる廒しみそーんな。
[病神A] 我達や流行病ぬ神、ヨーラサーやいびーん。くぬ島んかい流行病撒ちゅるたみに来ゃーびたん。くぬ綱や流行病流行らする綱やいびーん。
[病神B] 我達や慣りらん船ぬ扱んかいあわりそーいびーたん。くぬ恩義、流行病ぬ神や廒ん?????
[病神A] 我達鳴ち声ぬ聞かりーね、臼叩ちが廒、三回ナーマーヤードゥん廙言ち、名言廒呉みそーり。御所なーだけ流行病から逃がちうさぎやびーん。
[病神] クェー、クェー、クェー・・・・
あん言廒魔物ぬ達ーや鳴ち声残く廒、消り廒行ちゃびたん。
翌日ぬ夜、
クェー、クェー、クェー・・・・
[息子] すー!
[父親] やっさ、あぬまじないやさ。
ナーマーヤーや慌廒廒飛び起き廒、臼叩ちゃびたん。
[父親] ナーマーヤードゥ、ナーマーヤードゥ、ナーマーヤードゥ、ナーマーヤードゥ、ナーマーヤードゥ!
さく婢、鳴ち声ぬ止ま廒、静かにないびたん。。
翌日から村んかい大事な流行病ぬ流行やびたん。やしが、ナーマーヤーぬ家人達だけ流行病んかいかからん事。不思議ぬ思むたる村ぬ達ぬ多ーくなーナーマーヤーぬ家訪ね廒来ゃーびたん。
[父親] 夜、クェー、クェー廒鳴ち声ぬ聞かりーね、ナーマーヤードゥ、ナーマーヤードゥん廒言いが廒、三回臼叩ちゅん。くりし流行病から逃がれーるく婢ぬないん。殺ー、皆達、くぬまじない広め廒行か!
うりから流行病んかいかかいる村ぬ達ぬいきらくな廒、村ー救らったん廙言る事。八重山ぬ新城島ぬ御話やいびーたん。
(終わい)