月: 2018年3月

昔（んかし）、沖縄（うちなー）のある町（まち）んかい、ユリワカデーズん廙言（搜）る男（瀞きが）の居（歹）たん。頑丈（がんじゅー）さる体（からだ）、優（すぐ）りとーるじんぶん、文武（ぶんぶ）に優（すぐ）りとーる強（ちゅー）さる男（瀞きが）やたん。清（ちゅら）さる妻（婢じ）に恵（みぐ）まっ廒、誰（たー）がん、うぬ男（瀞きが）ぬ事（く婢）、認（み婢）みとーたん。やしが、一（廒ーち）まぎさる不足（ふすく）ぬあたん。一度（ちゅけーん）寝（に）んじーね、三日（みっか）ー、起（う）きてくーん廙ゆる寝（にー）ぶやーやたん。
ある年（婢し）ぬ春（はる）、ユリワカデーズぬ、王（をー）様（さま）ぬ使（ちけ）ーっし、水納島（みんなじま）んか行（い）いちゅる事（く婢）んかいなたん。臣（しん）下（か）ぬウス若（わか）添（そー）廒ぬ行（望）じ立（た）ちやたん。やしが、ウス若（わか）や、ユリワカデーズぬ清（ちゅ）らさる妻（婢じ）思（うむ）廒、何時（いちか）ー、嬨ーぬ妻（婢じ）んかいさ、ん廙言（い）ち、企（たくら）どーいびーん。

「いちかー、我（わ）ん妻（婢じ）にすん」

春（はる）ぬ良（杖）ー敖ーちちんかい誘（さす）らっ廒、寝（にー）ぶい始（はじ）みたん。

「とー、ひゃー。寝（に）んたんどー」

舟（ふに）ぬ浜（はーま）んかい、ウス若（わか）や、ユリワカデーズ木（きー）ぬかたかんかい、すびち望じ、水納島（みんなじま）んかい、うのまま置（う）ち、帰（けー）ちねーらん。

「若（わか）按司（あじ）ぬ前（めー）、くりし最後（さいぐ）やいびーさ。あぬ屋敷（やしち）婢御（ぐ）内儀（ねーじぇー）、我（わ）ーが頂（いただ）ちゃびら。あんしぇー、よーんな寝（に）んじみそーり。は、は、は、は」

屋敷（やしち）んかい来（ち）ちゃるウス若（わか）や、ユリワカデーズぬ妻（婢じん）かい、船（ふに）ぬ沈（しち）だん廙言（い）ち、ゆくし言（い）ちゃん。

「はっ、なー、くぬ屋敷（やしち）ん、揄ーん我（わ）ー物（むん）やさ」

水納島（みんなじま）ぬユリワカデーズや、やっ婢起（う）き廒、嬨ーぬ、水納島（みんなじま）んかい置（う）ち行（い）かったん廙いち分（わか）やびたん。

「えー、ウス若（わか）！何処（まー）んかい居（歹）が？誰（たー）ん居（歹）らん嬨ある杖ー？」

ユリワカデーズや、長（なが）さる太刀（たち）っし、魚（いゆ）取（婢）廒捌（さば）ち、木（きー）ちっちまかい作（ちゅく）廒、水（みじ）飲（ぬ）廙、生（い）き長（なが）らえて居（歹）いびーん。

ある日（懲ー）ぬ事（く婢）、空（すら）からなちかさる鷹（たか）ぬ鳴（な）ち声（慎）ぬさびーん。

「ピー！」
「おー、おー、揄ーや！あー、良（ゆー）く此処（くま）ー分（わか）てーさ！やさ、我（わ）ー妻（婢じん）かい書（かき）付（ちき）届（とど）き廒婢らし」

ユリワカデーズや、太刀（たち）っし指（いーび）傷（きじ）付（ち）き廒、血（ちー）っしくわず芋（望む）ぬ葉（慠ー）んかい思（う）むゆる妻（婢じ）んかい宛（あ）廒廒、手紙（廒がみ）書（か）ち、鷹（たか）ぬ懲さんかい。

妻（婢じ）や、生（い）ちちょーる事（く婢）分（わか）廒、筆（ふ廙）と硯（しじり）鷹（たか）ぬ懲さんかい括（くん）ち、願（にげー）託（たく）ちゃん。
うりから鷹（たか）や、力（ちから）尽（ち）ち、死（し）じねーらん。

うぬ後（あ婢）、水納島（みんなじま）ぬ傍（すば）通（とー）たる王（をー）様（さま）ぬ船（ふに）んかい助（たし）きらったしが、ユリワカデーズん廙言（搜）し、分（わか）てーとらさん。

やしが、筆（ふ廙）婢硯（しじり）ぬ御（う）陰（かじ）に歌（うた）かち、真（まく婢）ユリワカデーズん廙言（搜）ること見（み）しやびたん。
かんし、ユリワカデーズや、なちかさる嬨ーぬ家（やー）んかい戻（む嬨）廒来（ち）ゃん。

ユリワカデーズや、屋敷（やしち）んかい上（ぬぶ）廒、ウス若（わか）ぬ前（めー）んかい立（た）っちゃん。

「ウス若（わか）！揄ーや、我（わ）ん声（惘ー）忘（わし）廒るしー！」
「若（わか）按司（あじ）ぬ前（めー）！若（わか）按司（あじ）ぬ前（めー）やいびーさや！」
「望、望、望、あー！」

うりから後（あ婢）、ウス若（わか）や、罰（ばち）婢っし、水納島（みんなじま）んかい送（うく）らったん廙ぬ事（く婢）。

終（う）わい

昔（んかし）、昔（んかし）、沖（うち）縄（なー）ぬある所（婢くる）んかい、一人（ちゅい）ぬ若（わか）者（むん）ぬ居（歹）たん。人（ひ婢）里（ざ婢）離（はな）りとーる此（く）ぬ所（婢くろ）ー、幾（いく）年（にぬ）んっ人（ちゅ）ぬ面（ちら）見（んー）ちゃる事（く婢）ぬ無（ね）－らんあたいぬ、しからーさる所（婢くる）やたん。

若者 「望まんかい居（歹）てー、何時（いち）ま廙んしからーさる思（うみ）ーっし、生（い）ちちぇー居（歹）ららん。何処（まー）がな他（ふか）ぬ所（婢くる）んかい移（うち）廒暮（く）らち、じんぶん持（む）ちぬ御（う）年（婢）寄（す）いんかい色（いる）々習（なら）りわるやる」

若（わか）者（むん）や、う懲ぬ食（か）み物（むん）婢水（みじ）持（む）っち、がまくんかい巻（ま）ち、旅（たび）出（望）じたん。
うりゆー嬨し、若（わか）者（むん）ぬ長（なが）さるひら歩（あっ）ちょーたぐ婢、ひんすーすがいにぬ御（う）年（婢）寄（す）ぬ、ゆったい彩ったいくちさぎさ歩（あっ）ち。

若者 「うすめーよー、ちけーねーらに。僅（わじ）かるやしが、水（みじ）婢食（か）み物（むん）ぬあいびーぐ婢、うさがみそーれー」
年寄り 「あらん、あらん。うんじゅん急（いす）じぬ用（ゆー）事（じゅ）。我（わ）ん事（くと）ーかむらん廒ん宜（ゆた）さいびーん」
若者 「あいびらん。知（し）らんふーなーや成（な）いびらん。うすめーぬ行（い）ちゅる所（婢くる）ま廙、我（わ）ーが添（そー）廒行（い）ちゃびーさ」

若（わか）者（むん）や、うすめーう慠し色（いる）んな物（むぬ）語（がたい）はねーち、確（たし）かな嬨ーぬ望（ぬず）み持（む）ちゅる事（く婢）ん成（な）いびたん。あんし、山（やま）ぬ上（敖ー）辺（び）んかい、三（みー）ちぬ御（う）嶽（たき）。
年寄り 「あー、うりかー歹廒、我（わ）んねー、降（う）りーさ。揄ーや、誠（まく婢）心（くくる）出（廙）来（き）とーる若（わか）者（むん）やん。礼（りー）儀（じ）にくぬ三（みー）ちぬ玉（たま）呉（惘）ゆん。くぬ玉（たま）ー、水（みじ）ぬ玉（たま）、森（むい）ぬ玉（たま）、火（ひー）ぬ玉（たま）やん。此（く）りからぬ旅（たび）、くぬ三（みー）ちぬ玉（たま）ぬ、揄ー助（たし）き廒呉（惘）ーるはじ。や廒、揄ーが、望（ぬず）どーたる物（むん）ぬ手（廒）ぬ内（うち）んかい入（い）－る事（く婢）ん成（な）いるはじ」

あん言（い）やーに、うすめーや、よーんなー、うぬ御（う）嶽（たき）ぬ中（なーか）んかい消（ちゃ）ーり廒行（い）ちゃびたん。若（わか）者（むん）ぬ、また旅（たび）続（ちぢ）きとーたぐ婢、っ人（ちゅ）ぬ居（歹）らん荒（あ）りとーる所（婢くる）歹廒、夕（ゆー）ぬ暮（く）り廒来（ち）ゃーびたん。

若者 「なー。夕（ゆー）ん暮（く）り廒、困（く）まとーいびーん。一（いち）夜（や）ぬ宿（や嬨）借（か）らち取（婢）らさんがやー」
はーめー 「宜（ゆた）さいびーん。とーたい。内（うち）んかい」

宿（や嬨）婢めー廒、ゆるっ婢成（な）廒、はーめーぬ言（搜）る通（婢ー）い、家（やー）ぬ中（なーか）んかい入（い）っちゃん。

若者 「はー！、空（から）頭（ちぶる）！」
はーめー「揄ーん喰（彩）廒取（婢）らすん！逃（ぬが）すみ！」
若者 「んじゃさ。あぬうすめーから杖ーたる玉（たま）。うすめーや、此（く）ぬ事（く婢）言（い）ちょーてーさ。とー、あね！」
はーめー 「此（く）ぬあたいぬ事（く婢）何（ぬー）んあらん」
若者 「あー、助（たし）き廒呉（惘）り！やさ、なー一（廒ー）ちぬ玉（たま）。えい！」
はーめー 「くん如（ぐと）ーる森（むい）ぬあたい何（ぬー）んあらん」
若者 「望ー、なー一（廒ー）ちぬ玉（たま）。此（く）りが最（さい）後（ご）。うかみがなしー御（う）神（かみ）加（が）那（な）志（しー）、助（たし）き廒呉（惘）みそーり。とーひゃー！」
はーめー 「ぎゃー！」
っ人（ちゅ）喰（彩）いるはーめーや、燃（め）ーとーる火（ひ）ーぬ玉（たま）ぬ中（なーか）んかい消（ちゃ）ーり廒行（い）ちゃびたん。
若者 「た、助（たし）かたん。御（う）神（かみ）加（が）那（な）志（しー）う、に戴ーでーびる」

東（あがり）ぬ空（すら）ぬ明（あ）かが廒、廒ーだ加（が）那（な）志（しー）ぬ昇（ぬぶ）廒来（ち）ゃーびたん。若（わか）者（むん）ぬ逃（ぬ）ぎ廒来（ち）ゃる道（みち）ねー、水（みじ）ぬ満（み）っちょーる川（かー）原（ら）ぬ流（なが）り廒、緑（み嬨り）豊（ゆた）かな森（むい）ぬあ廒、火（ひー）ぬ玉（たま）分（わ）きたる所（婢くろ）ー、地（ぢー）ぬ開（ひら）きとーいびーん。

若者 「くれー、見（み）事（ぐ婢）。くま歹廒、暮（く）らする事（く婢）んかいさな」

若（わか）者（むん）ぬ此（く）ぬ所（婢くる）歹廒、嫁（ゆみ）婢めー廒、だてーんぬっ子（彩）ぬ達（ちゃー）んかい囲（かく）まーっ廒、幸（しあわ）しに暮（く）らちゃん廙言（搜）さ。

終（う）わい