カタカナ表記は使えない

琉歌をやるひとなら誰でも歌える「かじゃ廙ふーぶし」を例にとってみます。分かち書きカタカナ表記にしても歌の内容=曲想がまったく表現できないのが分かるでしょう。

<カタカナ表記>
キユヌ フクラシャヤ ナウニジャナ タティル
ツィブディ ウゥル ハナヌ ツィユ チャタグトゥ

短いものでも分かりにくいのに、長い歌詞となったらどうしようもありません。本ブログで推奨する沖縄文字を使用して表記すると

<沖縄文字表記>
ぬふくらしゃや な歹にじゃなた廒る
滋ぶ廙歹るはなぬ 滋ゆたぐ婢

のようになります。いかがでしょうか。沖縄語の意味も発音もちゃんと取れます。参考までにこのブログにある「金細工節」を見れば、これをカタカナ表記で読まされるのは苦痛です。仮名文字を変形させた字体は必ずしも美しくないかも知れませんが、今のところこれより優れた表記法はないでしょう。例の琉歌でカタカナ表記の「ウゥ」は「u」の非破裂音を表す約束ですが、初見だと「うぅ」と唸りそうです。実際に「うぅ」と発音しているとんでもない歌い手がいました。

沖縄語をカタカナ表記する人たちが「言葉は基本的には音(音声)だから」というのは否定しませんが、音声絶対主義でカタカナ表記に固執するのは誤りです。共通の祖語から派生した沖縄語なのですから、共通語話者にとって理解、発音しやすい方法を取るべきです。